食彩品館.jp

いちやまマート諏訪店訪問【その1】。“どや顔”な「豚脛肉の塊でアイスバイン提案」を見ながら思ったこと(長野県諏訪市)

 遠征先は何か理由があって決めるのだが今回は少し迷った。
大阪方面(キューズモール)か、愛知県内(ザ・チャレンジハウス平安他)、岐阜(オークワ、とれったひろば関)。そして長野(アリオ上田、いちやまマート諏訪店、マツヤ上田店)。
食彩賓館は「行きました」という記事を書くために店舗訪問をしているわけではなく、「何かを見つけるため」にせっせと店舗訪問しています。なので、一番「何か」を発見できそうということで選択したのがいちやまマート諏訪店を含む長野県遠征。
ついでといってはなんだがイトーヨーカドーもキューズモールの関係もあるので一度見ておくことに。早朝3時間ドライブで上田市に到着後、マツヤスーパーが移転オープンした丸子周辺を回りながら、諏訪方面へ抜けるルート。運が良ければ、バロー飯田店まで訪問できるかな? という予定を組む。もっとも、バロー社やオークワ社のオープンは最近、食指が動かないのでどちらでも良い。というよりは新店がオープンしたからいち早く見なければならないという理由はない。なので、どうしても見ておきたい いちやまマートが当日の遠征の最大の目的。
本当はオープンして3日後という日程で見るのはもったいない店舗なんです。約一カ月くらい経過してから見ないと本当の実力は判断できない。オープン時の本部・近隣店舗応援が抜けた後の品揃え、商品作り、売場運営力を見たいのだが、GWは別に予定を組んでいるのでそんな悠長なことは言っていられない。
いつものように、いろいろ寄り道していたので夕方になって雨の中、店舗に到着。

●いちやまマート諏訪店
長野県諏訪市中洲3588
℡0266-54-2271
営業時間 朝9時~夜10時
訪問日 2011/04/20
訪問日 2011/04/23

201104231741_2
20110423_3
 特上店です。素晴らしい。
いろいろと書きたいことがありすぎて、とても一日の記事に収まりそうにない。「気に入った」とか「気に入らなかった」や「好き・嫌い」でもない。700坪弱の店をじっくり見ていたら2時間も滞在してしまった。食彩賓館をそれだけ滞在させることができる店なのだが、かといって「素晴らしい店」という印象ばかりではない。
いつものように「何が“超鮮度”だ」とか、POPで「“ご存知ですか?”と言われても知りたくもないわいっ」とか一人で返しをするのではなく、真面目に驚いてしまったのです。
この店で働いている人達は、今回の新店を出すにあたって、相当、いろいろと考えていたことと思う。見事にその思いが売場に、商品に表れている。
ワイン売場の延長線上にある見事な生ハム売場とチーズ売場やアイスバインを本気で売り込んでいるような斬新な提案売場、そして買う気にさせる“コトPOP”。
それとは逆に、「子供たちに安全・安心」といいながら、衛生的に不安なライブキッチン売場(売場と調理場の空間に仕切りを設置していない場所で料理・調理して客の購買意欲を刺激する仕掛け)を設置している矛盾。
なんなんだろう。食彩賓館だったら絶対できないコト、「素晴らしい(見事な“高級品<高質以上>”売場)」と思うことと「(このご時世に衛生的に不安になるようなライブ販売を実施するということに対して)あり得ない」と思うことが混在している。とくにライブ販売多発はサンシャインで始まり、阪急オアシス社が全国的に評価され、より拡大する傾向にある。保健所も情けない。自分達の指導がきちんと理解されずに無視されていることを放置している。別に食彩賓館が怒ることでもないが、今まで自分が信じ、そして順守してきた保健所の指導をここまで無視されると過去の仕事(保健所の指導に従った衛生に配慮した売場作り)まで否定されているようで悲しい。
この店を出てから、しばらくボ~と運転していた。高速道路もそんな調子だったので、いつものより荒い運転をしてしまった。
翌日もずっと考えていた。考えて、思って、いろいろと想定しながら、一応、結論めいたものにたどりついた。
誤解のないように言っておきたいが、あくまで私が感じた印象です。間違っていても怒らないで欲しい。
 
 もしかすると客のことを考えているようで、実は自分自身の満足のために仕事をしているのではないか? それで「どや顔」な表現が多いのかな?

 過去、食彩賓館自身にもあったのです。そういうことが。
青果バイヤー時代に、有機栽培やオーガニックに興味を持ち、のめりこむように取り組みました。有機栽培の工程管理士の講習も受け、有機栽培ではない特別栽培の商品についても、自分で研究して、ある団体の基準を参考に農薬基準などを策定しました。そういった「人とは違うこと」に取り組んでいると、なんとなく、自分が特別なような存在に思えて、だんだんと現実とのギャップに気づかなくなる。
間違っているかもしれないし、いけないことでもないのか知れないが、食彩賓館はそういった経験をしているので、今回のいちやまマート諏訪店の素晴らしい取り組みに対して、逆に“負”のイメージを持ったのかもしれない。でも自分の感じたことを素直に語りたいと思ったのです。

 実際にいくつか事例を挙げて、食彩賓館が客として受けた印象をあげていきたい。
まず、このコメントから。
「旨いもん屋。旨いものは高い。でも必ず旨い。それを執念で安くするのがいちやまのこだわり」
立派です。その取り組み内容をきちんと売場で実現している。でも高いのです。品質に比較してどうかという話は別にして、支払うお金が“高い”。
私のように食にこだわりを持つ者にとっても、少し高価すぎる提案が多い。誰が買うんだろうという高級なものを「どやっ」と提案されても困惑する。
ならば使いやすいように少量でお試し購入を提案してくれても良いのにと思うものがいくつかありました。(実際にソーセージなど、おためしセットもありましたが)
本気で買いたいと思っているから気付き、思うのです。もう一度、販売価格を見てもらいたい。週2回、あるいは週1回訪問して買える買物価格だろうか。
 続いて 「これは見事」と思う提案の中から紹介。
骨付きのラム肉や骨付き豚ロース肉などを集めて平台でコーナー化している一角がある。牛肉のワイン煮も大パックで提案している。1パック当たりの販売価格が4000円~5000円。料理にこだわる人にとっては普通の価格なんでしようが、普段、凝った料理を食べない食彩賓館にとってはありえない販売単価。
それよりも驚いたのが、アイスバインのメニュー提案。アイスバイン用の冷凍骨付き脛肉を販売している店舗は愛知県でもあるが、生肉でメニュー提案をしているのは初めて見た。
ローレル、タイム、クローブが必要分セットされています。手書きメニューレシピも配布。「これは購入しなくちゃ」と思い、メニューレシピを見ていて、購入をあきらめました。実に丁寧なメニューレシピなのですが、時折、私のようなペーパー調理師免許保持者にはわからない言葉が出てくるのです。
ずっと読んでいてわかったのは、ある程度、料理に興味を持っている人に対してのレシピだということでした。書いた人はおそらく、誰にでも簡単にできるように書いてくれていると思います。ここに違和感を感じるのです。それは生活提案ではなく、趣味提案なんです。
この店は「生活提案」よりも「趣味提案」が多い。だから楽しい。楽しいが買えない。(私を含めた)客が店のレベルに追い付いていないから。
Photo_8

 そうはいいながら、実に羨ましいという思いもあります。
食彩賓館もアイスバインを試食提案したことがあります。売上には結びつかず、見事に失敗しましたが、実に気持ち良かった(笑)。
「どう? 私、こんな料理つくっちゃうのよん」という人向きの提案です。
*************
●食彩賓館が試食で使ったアイスバイン
2006111402

銀座の某店で生まれて初めて食べたアイスバイン
20060923

※アイスバイン(Eisbein)=豚の前脚のスネ肉を塩と香料でつけ込んだ後、ボイルして食べる、ドイツ家庭料理

その他、購入商品などの話はまた別途。一部を除き、大変、気に入った店舗なんです。
とりあえず、予告を兼ねて写真と資料はアップ。
1201104231741 20110423
20110423_1 20110423_2_2
0920110423_298 Photo
 
 この話は続きます。まだ、店のことを書いていない。
2011/04/28いちやまマート諏訪店訪問記【その2】
************

  ◇いちやまマート関連記事
 ・2015/02/26いちやまマート新山梨店(山梨県)
 ・2014/11/07いちやまマート岡谷店(長野県)
 ・2013/08/10いちやまマート山梨市複合施設
 2011/04/28いちやまマート諏訪店訪問記(その2)
 2011/04/25いちやまマート諏訪店訪問記(その1)
 2010/10/13いちやまマート イッツモア徳行店訪問記
 2009/06/15いちやまマート増坪店訪問記